遠くから来て遠くまで。

エルネア王国プレイ中に生じた個人的妄想のしまい場所。

NPCスピンオフ

イグナシオ番外編:星に願いを(後編)※完結

カレンが奏女になったことで、プラマー家とオブライエン家の縁組は自然消滅した。 父さんはジャンナさんに少しだけ嫌味を言われたようだが、まあそもそもあくまでも「打診」レベルの話だったから...誰が悪いというわけでもないのだった。 「サンチャゴ、こん…

イグナシオ番外編:星に願いを(中編)

成人まではあっと言う間だった。 カレンは子供の時の印象そのままに、透けるような白い肌と大きな黒い瞳の美しい女性に変わっていた。 成人してからは、おれはカレンとは数えるほどしか接触していない。 「成人の記念に」と祖父がおれたちを遺跡に誘ってくれ…

イグナシオ番外編:星に願いを(前編)

※またまた唐突にすみません。カールが旅立って話がいったん落ち着いたので、流れ的に本編に入れられなかったエピソードを...。文中の「台詞」と語り口調でイグナシオの一人称が「ボク」と「おれ」に乖離しているのは、大人になったイグナシオが「回想」して…

イグナシオ編おまけ:マブダチになった日。

話の流れをブッタ切ってすみません(^^;重たい話が続いて中の人がちょっとしんどくなったので息抜きに番外編。時間軸は「性格を変える薬」1・2・3とほぼ同じくらい。 「サンチャゴ、お隣のイグナシオ君と遊ばないの?せっかく同い年の男の子がいるんだか…

カール編おまけ:ヘタレ山岳兵と龍騎士様

※こちらは「兵長継承」「もう一つの準決勝」とほぼ同時期のお話です(^^; 「よう騎士隊長殿、ムタンの種が採りたい。ゲーナの森まで、付き合ってくれよ」 親友のルチオから誘いを受けたのは、エルネア杯の準決勝が終わった翌日のことだった。こっちは決勝…

選ばれなかった子(10)※完結

「おにいちゃん、まってー!」 「マグノリア、こっちだよ、はやくはやく!」 父の初めてのバグウェル戦。 前の晩から眠れないくらい楽しみだった。 試合が始まる夕刻に間に合うように、導師居室から闘技場までの長い道を、 妹と二人で息せき切って、一気に駆…

選ばれなかった子(9)

-弟に抜かれる- ガイスカが入隊してからというもの、俺は常にそんな不安と戦ってきたような気がする。 弟は予想通り優秀だった。 入隊後初のトーナメントこそ1勝のみの成績にとどまったが、翌年には一転して勝利を重ね、並居るベテラン騎士を倒して決勝ま…

選ばれなかった子(8)

「イグナシオの今後のことを考えたら、兵長を早めに引き継いで実戦経験を積ませた方がいいかとも考えたけど...次のエルネア杯までは続けることにしたよ」※1 俺が騎士隊長になったばかりの評議会帰り、義弟ジャスタスはこんなことを話していた。 「といっても…

選ばれなかった子(7)

騎士隊に入隊してから5年。 ようやくこの場に立つことができた。 闘技場の空気は乾いていて、時折頬を通り抜ける風は冷たい。 不思議と心は落ち着いていた。 そう。俺は今から、決勝戦を戦う。 決勝戦の相手はフレッド・ウルフスタン。 銃持ちの騎士だが、本…

選ばれなかった子(6)

瘴気の森の空気は湿り気を帯び、ねっとりと絡みつくようだった。 鬱蒼と生い茂った木々のせいで光は殆ど届かず、静かな中に時折、 瘴気が噴き出るしゅう、とした音だけが聞こえる。 その中で俺は一人、狂ったように「魔人討伐」を続けていた。 ー一体、俺は…

選ばれなかった子(5)

「みんな『ご主人が英雄になれて良かったね』なんて言うのよ。わたくしはね、英雄の妻になんてなるつもりは、なかったのに...。出会った頃のように、心を通じ合わせて、ただ寄り添っていられれば、それだけで良かったのに...」 普段の母は、とても明るく社交…

選ばれなかった子(4)

「...まああれだよ。大衆って奴は娯楽が見たいのさ。劇的な物語をね。 バカみたいに強い英雄が当たり前に勝って終わり...じゃつまらんだろう?」 ...エルネア杯。 その出場者にとっては、そこは己の武人としての集大成をぶつける、真剣勝負の場だ。 ...が、…

選ばれなかった子(3)

「カール。欠員が出来たから、選抜トーナメントの審判が足りなくなったの。 明日から審判のシフトに入って頂戴」 ニーナ伯母さんから声がかかったのは、ちょうど各武術組織の試合が始まる5日のことだった。 ニーナ伯母さんは、騎士隊総勢16名のうち、隊長を…

選ばれなかった子(2)

かくして俺は一家の主となり、可愛い嫁さんアラベルとの新婚生活に入った。 日々は穏やかに過ぎていった。 騎士への夢を諦めたわけじゃないけど... こうやって、家族とのんびり生きていくのも、ありかもな。 そんなことを思うようにもなった。 分不相応な望…

選ばれなかった子(1)

「カール...言い訳がましくなるが、力の継承者にお前を選ばなかったのは、お前の能力が劣っていたからじゃない。お前の成人前にはまだ私の能力が...後世に引き継ぐまでのレベルに至ってなかったからだ」 「いいよ、父さん。俺は全然気にしてないよ、龍騎士で…